
#03 どんどん複雑になって、どんどん難しくなっていっても、俺はわかる!みたいな楽しみ方が出来るのがアニソン(no_my)
no_my: 一応音楽的なバックボーンの話もしていいですか(笑)
園田: フランクザッパが好きですって言えば?
no_my: フランクザッパは後で言います(笑)まず、自発的に音楽を聴き始めたのは...人生最初に買ったCDの話で言うと、僕もSMAPの「SMAP 011 ス」なんですよね。
園田: 何が入ってるやつ?
no_my: 外国人ミュージシャンをバリバリ使ってた頃のやつで。
伊藤: あー、「SMAPPIES~Rhythmsticks」とか出してた頃の。
園田: もうちょっと後じゃないかな。
no_my: 確かね、007から014くらい迄がそうなんですよ。
やしきん: そこまでやってたんだ。
no_my: そのあと段々ブラックミュージックがつかなくなってくるんですけど。
伊藤: 僕らはわりとSMAP好きだから(笑)
やしきん: リズムがブラックだった時の曲凄い好きだった。
no_my: でもそれを買ったのは小学生くらいなんで、全然良さがわかんないわけですよ。1曲目とかインストで歌入ってないし、なんだこれみたいな感じで。よくわかんないからシングル曲だけ聴いて、あとは飛ばしてました(笑)
園田: 今聴くと面白いんだけど。
no_my: そうそう。それで、SMAPは流行りに乗って買っただけだったんですけど、自分で憧れて聴きこんだのが中学生の時に買ったゆずです。
ーあ、それはWIKIPEDIAに書いてありました。
no_my: ありがとうございます(笑)
ーそのあとブラックミュージックを聴かれるって書いてありました(笑)
園田: ゆずからブラックミュージック?
no_my: そうです。僕は結構周りから影響されやすいんですけど、実はゆずも人から薦められて聴いたらめっちゃ良くて。それで、その友達からギターを借りて、ゆずの真似をして中学生の時に路上ライブやってたんですけど(笑)
一同: 爆笑
伊藤: 影響されるサイクルが速くていいですね。すぐに生かせるのが凄いな。
no_my: その後高校生の時に、友達に誘われてバンドを始めて。その時はロキノン系のバンドが流行ってたので、それこそBUMP OF CHICKENみたいなのをやりながら、軽音部でギター/ボーカルをやってたんですけど、そのようにバンドではギターロックみたいなのをやりながら、個人的にはオシャレな洋楽とかも聴いてたんです。大学に入ってからも、また影響される人生なんですけど、ミュージックファンクラブというブラックミュージックばかりをやる渋いバンドサークルに入りまして。
園田: あー!
やしきん: (no_myさんと園田さんと自分を指して)ここみんな大学、早稲田で一緒なんですよ。
伊藤: 早稲田じゃねーの俺だけだ!
ーブラックミュージックだとどこらへんをやられていましたか?
no_my: 60年代のMarvin Gayeとか...
伊藤: いいところですね~。
no_my: ギターをやる人はブルースをやっていたり、その時に初めてルーツミュージックに触れて、音楽ってこういうところから来てるんだっていうのを学んだんですよね。
園田: サム・クックとかは?
no_my: サム・クックやりました!それは教養レベルで(笑)あと僕、ジェームス・ブラウンとかも歌ってましたからね。
園田: マジで!?
no_my: ゲロッパ!ってやってました(笑)
園田: Sly & The Family Stoneとかも教科書レベルだよね?
no_my: Sly & The Family StoneなんかBillboard japanに来た時にライブ観に行きましたからね。
園田: マジで!?(スライが)全然出てこなかったやつだ(笑)
no_my: そうです。最後4曲だけ出てきたやつ(笑)
伊藤: 意外ですね。
ーオリジナルはやってらしたんですか?
no_my: いやバンドサークルでライブをやる時は、オリジナルをやるやつをバカにする謎な風潮があったんです。
伊藤: 逆もありますよね。コピーやるのをバカにするみたいな。
no_my: ひねくれた人ばっかりだったんですよ(笑)でも、サークルはサークルで皆で楽しく学びながらやってて。メンバーで管楽器もいたんですけど、10人以上でビッグバンドもやったりして。そういうのをやりながら、バイトしてMTRを買って自分で宅録したり、そんな大学生活でした。
やしきん: 充実してんな~。
no_my: いやいや、こうやってかいつまんで言うとね(笑)それで、青春時代から離れちゃうんですけど、アニメや声優文化に初めて触れた出来事があって。僕は大学出た後も、就職しないでずっとバンドやってて、全然うまくはいかなかったんですけど。その時に、たまたま知り合った方が、個人で小さいレコーディングスタジオをやってて、その人自身も声優さんだったんですよ。それで、その人にエンジニアをやらないかと言われて、やるやるーって。
ーそれ以前にエンジニアの勉強もされてたんですか?
no_my: いや全然。まあなんとかなるだろうなって思って(笑)とりあえずやるタイプなんで。
園田: 迷うなら飛べってやつだ。
no_my: やってみた方が早いし。そんな感じで勉強しながらエンジニアやってたんですけど、ただそこのスタジオは楽器を録るんじゃなくて、声優さんの声を録るのがメインのボイススタジオだったんです。そこで声優さんが喋ってるのを聞いたり、あと声優さんのワークショップとかもやってて、ベテランの声優さんが若手に教えてるのを横でずっと聞いてたり。
園田: いい勉強になるよな。
no_my: そうなんですよ。その生活が3年くらい続いて、その後スタジオを辞めてから、本格的に作曲家を目指すんですけど、結構その3年間は自分にとって大きかったですね。色々学んだし、声優さんは表現者として凄いんだなって。今アニソンを好んで聴くわけじゃないけど、声優さんとかアニメ文化に対するリスペクトは、その時の経験から生まれました。
やしきん: かいつまんでこれでしょ?濃ゆ!(笑)
ー園田さんはいかがでしょうか?
園田: この3人とは世代がずれるんですが、僕は熊本だったんで、テレビ局が少なかったんですよ。やってるアニメが先ずないんです。なので、アニメというより、どっちかというとゲームの方だったんです。「ときめきメモリアル」とか「To Heart」とか。プレステとセガ・サターンが高校の頃に出たんですけど、何を思ったかセガ・サターンの方を買っちゃったんですよ。そしたら、名作がいっぱいあるわけです。「同級生」とか「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」とか「イヴ・バーストエラー」とか。こういう答えが聞きたかったんじゃないかなと思って(笑)
ー(笑)リアルタイムでそこらへんのギャルゲーをやられてたんですね。
園田: そうです。時代的にはすごく良くて。音楽の方でも、J-POPでいうとスピッツとかMr.Childrenがガンと売れた時じゃないですか。そこにTHE YELLOW MONKEYとか出てきて、ちょっと戻れば渋谷系も聴けたし、ラルクアンシエルとかGLAYもブレイクした時代なので、音楽的にも豊かな時代で。それと並行しながら、カウントダウンTVでたまに100位までやる時があったじゃないですか。あれを毎回ビデオに録画して色々チェックしてたんですけど、その時に國府田マリ子さんの「笑顔で愛してる」がランクインしてて、凄い良い曲だなと思って、先ず國府田さんに入ったんですよ。で、國府田さんって当時亀田誠治さんとか西脇辰弥さんとか、今でもバリバリJ-POPとかでやってる方が曲を書いてて。だって椎名林檎さんのチームが國府田マリ子さんやってましたからね。
no_my: そうなんですね!
園田: そうそう、クレジット見るとドラムはカースケさんでベースは亀田さんでしょ。エンジニアの所には井上うにさんって書いてあって。
やしきん: ドリームチームだ...
園田: その世代でいうと丹下桜さんとか、高校の時にちょっと遅れて坂本真綾さんに気が付いて、「プラチナ」から入って遡って行きました。

#04 伊藤美来ちゃんの「Shocking Blue」は機動戦艦ナデシコの「YOU GET TO BURNING」をアレンジでは意識して作ったんですよ(園田)
ーその時代から声優さんの曲は聴かれてたんですか?
園田: そうですね。ただ、僕の時代ってまだ居なかったですよ。売れていた人は、林原めぐみさんと、椎名へきるさんが初めてトップテンに入ってたくらいで。
no_my: 昔はそんなに声優さんが歌うことが一般的じゃなかったですよね。サクラ大戦がチャートに入ってきて皆なにこれって(笑)
園田: 所謂キャラソンの文化もなかったからね。キャラソンを作る文化が出て来たのって涼宮ハルヒの憂鬱以降だよね?
伊藤: 前からあったとは思うんですけど、凄く意識したのは涼宮ハルヒの憂鬱以降かなと。
no_my: 最近は作って当然になりましたからね。
やしきん: 作って当然なわけではなかったんだよね(笑)
伊藤: 出したり出さなかったりでしたよね。アニメだけじゃなくて、ギャルゲー系も出てました。
園田: 「To Heart」も出てて、めっちゃ良い曲多いんですよね。
伊藤: 何か知らないけどキャラソンシリーズみたいなものを一貫して買うようになったり、アニメに付随して買うようになったのはその辺りかもしれない。
園田: 未だに俺の中でのアニソンってあの雰囲気が基本なんですよ。所謂、J-POPが混ざってきたものというよりは作品ベースと言うか。伊藤美来ちゃんの「Shocking Blue」は機動戦艦ナデシコの「YOU GET TO BURNING」をアレンジでは意識して作ったんですよ。
やしきん: ああそれはちょっと感じる。
園田: この前それに気付いてくれた人がいて、めっちゃ嬉しかったですね。ルパンと「YOU GET TO BURNING」を足して現代風にしてやろうってアレンジしたのがあれだから。つまり、音楽的なバックボーンってなんなんだろうな...いっぱい聴くからわかんないんだけど。
伊藤: 園田さんはとにかく掘ってるイメージです。
園田: 高校の時、地元にタワーレコードが出来たんですけど、それが運の尽きで、学校の帰りに毎日タワレコ行って、試聴機を片っ端から聴いてましたね。
伊藤: その頃からだったんですね。
園田: そこでインディーズの頃のキリンジに出会ったり。その後、メジャーから1stが出るって聞いて、学校午前中サボって、タワレコ行って入荷と同時に買うみたいなことをやってました。それで、大学に入って洋楽を掘り出して、キリンジ繋がりでSteely Danに行って、その繋がりでSoft Machineとか。